3Dプリンター(19)2016年11月08日

レーザー加工機へ転用

レーザーカッター、レーザー加工機は3Dプリンターに比べてまだまだ高価な機器です。Instructableの記事でConvert a 3D PRINTER to LASER ENGRAVERを見つけました。RepRap Prusa i3 3Dプリンターをレーザー加工機に変えようという記事です。転用するための改造ポイントは3Dプリンターのホットエンドを取り外し、半導体レーザーモジュールに置き換えることで実現しています。RepRap Prusa i3のベッド(200mmX200mm)が加工できる最大サイズになりますのでレーザー加工機にしては小型になります。3Dプリンターとレーザー加工機共にXY軸は同じ動きをしますが、一般的なレーザー加工機ではZ軸(上下方向)はレーザーの焦点を調整後は動かすことができません。3Dプリンターで使用しているコントロールボードやステッピングモータ、モータードライバー、制御ソフトはそのままレーザー加工機で使用します。
今回は450nm 2000mW Blue 半導体レーザーモジュールを使用します。国内ではレーザーモジュールの単品販売は見つけられませんのでe-Bay(中国)から購入しました。2000mW程度であれば値段的にもお手頃です。また、電源は12V 2Aですから3Dプリンターで使用している電源で足りるでしょう。半導体レーザーは低出力ですが手軽に使用できる点が利点です。
3Dプリンターへの取付金具を3Dプリンターで作成します。レーザーモジュールの電源は12Vに接続し、TTL制御端子をコントロールボードの冷却ファン端子に接続した12VリレーでON/OFF制御をします。(今回の制御ボードではTTL端子をショートするとレーザーOFFでした) instructablesの記事では冷却ファン電源でレーザーモジュールの電源をON/OFFしていますが、購入したレーザーモジュールは電源ONから実際にレーザーが照射されるまでしばらく時間がかかります。これでは加工開始のタイミングが取れませんのでTTL制御端子を利用しました。

安全のために防護メガネも注文しました。

レーザー加工機と3Dプリンターでは加工データに違いがあります。レーザー加工機の加工データは加工テーブル(ベッド)とレーザーヘッドの移動速度設定とXY軸の移動データ、半導体レーザーのON/OFF制御データになります。
また、レーザー加工機では加工対象を切る、あるいは彫刻することが目的ですので3Dプリンター用のデザインツールでは用途が違います。そこでレーザー加工用のデータ作成にはInkscapeGコード作成プラグインRaster 2 Laser GCode generatorプラグインを使用することにしました。Inkscape はベクター画像を高品質で作成・編集できるオープンソースソフトウェアです。イメージの編集ツールはAdobeのツールでも構いませんが有料ソフトですので使っていません。最終的にGコードファイルが作成できるものであればよいのではないでしょうか
加工手順は

  1. Inkscape で作成したいデザインを編集。
  2. パス(アウトライン化)を作成。
    切断が目的ならオブジェクトのアウトライン化が必要ですが、彫刻ならイメージ情報をそのままGコードに変換します。
  3. Inkscapeのプラグインを呼び出してGコードファイルを作成。
    Gコード作成プラグインは切断用のGコードファイルを作成します。Raster 2 Laser GCode generatorは彫刻用のGコードファイルを作成します。
    ここまでがInkscape での作業です。

  4. 3Dプリンターの場合と同様に作成したGコードファイルをOctoPrintにアップロードしてPrintボタンを押す。
Gコード作成プラグインのページに詳細な手順が出ています。
Raster 2 Laser GCode generatorはこちらを参考にしてください。


7mmのMDF板に文字を彫刻してみました。
Raster 2 Laser GCode generatorの設定は
 ・解像度を5pixel/mm
 ・スピードを1000
 ・変換アルゴリズムはB/W fixed threshold
で設定しいます。写真でもわかる通り若干問題(横にはみ出している部分がある)があります。
ラスターイメージからの彫刻用Gコードを作成する別のソフトを探しています。 img2gcoというWEBベースのラスターイメージからGコードを作成するサイトを見つけました。こちらを試しています。

CNC(コンピュータ数値制御)2015年07月22日

コンピューター制御工作機械

最近、3Dプリンターの話をよく耳にしますが話題になっているのが積層造形法による樹脂を重ねあわせてオブジェクトを作成する工作機械です。以前からCNCフライス盤として知られている工作機械も広義では3Dプリンターです。CNCフライス盤は木や金属、プラスチックなどの素材を回転工具の刃先で切削することでオブジェクトを作成します。どちらにも共通なものがコンピューター制御されたXYZ軸を移動できる仕組みです。Z軸については3Dプリンターは積み上げ、CNCフライス盤は切削と反対の動作になります。

今回の目標はXY軸のコンピューター制御です。元となったのはProxxon社のマイクロクロステーブルです。この製品は手動で操作するものですがこれをコンピューター制御に改造します。

次にコンピューター制御系ですが、Open HardwareのArduino UNOとCNCモーター制御ボード、モータードライバーという構成です。XY軸の駆動用モーターにはステッピングモーターを使います。モータードライバーはステッピングモーターの駆動制御を行います。使用するステッピングモーターは1ステップ1.8°回転するものを使用していますので200ステップで1回転することになります。ArduinoのファームウエアとしてOpen Source SoftwareのGRBLを利用します。GRBLはUSB接続されたPCからGコードを受け取り、各モーターを動作させます。PCにはGRBLコントローラーをインストールします。
Arduino UNO R3は以前、購入した互換ボードを使用し、Arduino UNO用 CNCシールドとモータードライバー基板(XY軸で2個)で制御系の完成です。モータードライバー基板には ステッピングモータードライバ A4988を使用しました。電源は15V2AのACアダプターでテストしていますが、最終的には24V5Aの電源に交換するつもりです。
作成したいオブジェクトの作成は2D CADソフトを使用して作成します。この作成されたCADデータのCADフォーマットからGRBLコントローラーにロードするGコードを作成するソフトが必要になります。出来上がったGコードをGRBLコントローラーで読み込み、Arduinoに転送すると実際の切削作業が開始されます。